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いまどき中学生白書

いまどき中学生白書
魚住絹代
講談社
1575円

先日読んだ「脳内汚染」と同様に、寝屋川で起こった卒業生による中学教師刺殺事件を受けて実施されたアンケート結果をベースに、元法務教官で現在は大阪府の小中学校で子どもたちへのカウンセリングを担当している著者が、いま学校でおこっていることを赤裸々に綴った本である。子どもたちを「ゲーム族」「メール族」「ネット族」とに分類して、それぞれのグループに共通して見られる「心の働きや行動様式」の「大きな違い」について解説している。深読みすると中学生へのマーケティング資料にも使えそうな内容だが、そんな軽口は読み進むうちに沈黙へと変わるだろう。まさしくマーケティングの世界ではあり得ないほどのくっきりとしたモデル化が、それぞれの「族」ごとに形成されていることに驚かされるのだ。そこには「しなやかな個性」とやらも「本当の自分探し」もない。ひたすらに内向することで全能感を肥大させたバラバラの個が、声もたてずに蝟集しているだけだ。

僕たちが知らぬ間に、子どもたちはこんなところにまで漂着してしまっているのかと驚かされる。僕自身ネットの仕事をしているのだが、この本を読むまで世の中に「慘殺サイト」なるものがあることを知らなかった(おぞましくていまだ閲覧していないが)。
救いの一つは、こうしたカウンセラーの人たちが問題を抱えた子どもたちに手を差し伸べる努力をし続けている点だろうか。あるいは指導困難な子どもをカウンセリング室に託すことで教師はとりあえずの一息をついているのか。
僕にはわからない。
いま日本でも流行し始めているというオンラインゲームが、より深刻な「脳内汚染」をもたらす可能性について著者も指摘している。もはや一部の子どもたちにとっては、バーチャルなゲームやネットやメル友の世界の方が本当の住処なのだ。そしてバーチャルな住処が現実社会と擦れ合った時に、援助交際や薬物への依存や自傷行為や…凶器を使っての犯罪が行われるケースが次々に起きている。
最近どこかで読んだのだが、日本で放映された「南極物語」がディズニーによってリメイクされた。しかし犬を南極に置き去りにするというストーリーが引っかかり、PG(親同伴)指定になっているそうだ。この件について、アメリカにおけるメディア規制について何も知らない僕は何の発言もできない。ただ我々もこの社会にあらゆるメディアが無造作に露出されている状況から子どもたちを遠ざける方法を真剣に考えなければならない時に間違いなくきているということは言える。